頑張れ、友よ!
そんな出だしで始まるA.B.C-Zの新曲は、ドがつくほどストレートな応援ソングだ。
「頑張れ」って小学生でも知っているくらい身近な言葉だけど、使うのは結構難しいなと思う。
もう十分頑張ってる人に対して「頑張れ!」って言うのって、なんだか酷な気がして。
でもこの曲は「頑張れ」という言葉を使いながらも、頑張っている人を肯定してくれるような、そっと寄り添ってくれるような感じがする。
なんだか気持ちが暗くなりがちな今だからこそ、しっくりくる曲なのかもしれない。
再生ボタンを押して流れ込んでくるメロディーは、底抜けに明るい。
前奏からワクワク感を全開にしてくれるギターはもちろん、疾走感のあるドラムもめちゃくちゃカッコよくて、ロックはロックでもアニソンのような親しみやすさがあるオケだ。
なのに、そこに乗せられている歌詞には意外にも地に足の付いた言葉が並んでいる。
後ろ指さされたら……
どん底は終わりじゃなくて……
そんな素敵なフレーズがいくつも連なっているけれど、その中でも私が一番好きな歌詞がこれだ。
宝物ほど大事に隠して 忘れちゃったりして
胸の深くに 眠ったままの 地図を引っ張り出す
大切にしたいものが自分にとっての"つらいもの"になってしまうことって、そう珍しいことじゃない気がする。
いつかの自分のことみたいで、なんだか心にガツンときた。
頑張るって、難しい。
頑張れば報われるわけじゃないし、頑張るってなんだかカッコ悪い。
がむしゃらになればなるほど惨めだし、それこそ後ろ指をさされることだってある。
頑張れる人だけが頑張れば?なんて言われることだって少なくない。
でも、カッコ悪くてもいいじゃないかと言ってくれているのが、きっとこの「頑張れ、友よ!」という曲なんだと思う。
カッコ悪くても、前へ。
「待ってろ!急展開」なんて歌っちゃうアイドル、私はわりと嫌いじゃないな。
この曲を今のA.B.C-Zが歌うことってきっと意味があると思うし、意味を持たせたいなって、思ったりする。
頑張りどころがいつかって、そんなのいつだって「その時」なんだと思う。
でも今は、「今しかない」って思う。
アイドルがアイドルでいてくれる時間は、永遠じゃない。
だからこそ、今しかないなって思います。
余談になるけれど、今回の落ちサビを歌っている戸塚祥太くんの声や姿は、私の世界でいちばんきれいな人そのものでした。
白い光を吸い込んで、まるで自らが発光しているような、瞳に満天の星空を宿しているような、そういうかたち。
今上演中の舞台にはご縁がなかったのでいつになるか分からないけれど、このフレーズを歌う彼の姿を、いつか目に焼き付けたいなあ。
でも今は何より、この曲が少しでも多くの人に届けばいいなと願うばかりです。
きっと誰にでも覚えがあるような劣等感を、そっと包み込んでくれるような曲だと思うから。
↓何かございましたら
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