元うたプリオタクがマジLOVEスターリッシュツアーズに一ヶ月通った話
アイドルとは、時間を騙し続ける仕事なのかもしれない。
何かと話題を呼びがちな「うたの☆プリンスさまっ♪」から、ST☆RISH単独コンサートの映画「劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVEスターリッシュツアーズ」が公開されて早一ヶ月が経ちました。
最初は前作の「劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVEキングダム」が楽しかったので、今回も観に行こ~!と比較的軽い気持ちで観に行ったのですが、気付けば毎週映画館に足を運んでいます。
松竹さんの映画1回鑑賞ごとに1200円クーポン付与!という会員システムにまんまと踊らされている気がします。毎回予告で見せられている銀英伝も早いところ観に行きたい。東宝さんのシネマイレージも来年まで更新したので、来年公開される本命ジャンルの映画までにどんどこマイレージを貯めていきたいですね。
一応初めましての方もいるかもしれないので雑に自己紹介をしておくと、ブログを書いている人間は元うたプリオタクHAYATO担の一応現役ジャニオタ(兼声優ファン)です。
私とうたプリの出会いやらなんやらは過去記事でも触れているので、今回は割愛。
みんな大好きミリしら感想じゃなくて申し訳ないのですが、この一ヶ月スタツアに通ってみて、色々と考えさせられたりしたので感情整理も兼ねてブログに残しておこうと思います。
当たり前のようにネタバレをしていくので、苦手な方はご注意ください!
うたプリだから出来るエンタメショー
今回のスターリッシュツアーズ(以下スタツア)を観て最初に感じたのが、「これはうたプリだから出来る無茶苦茶なエンタメショーだな……」でした。うたプリと言えばやや突飛な展開やトンデモ演出が魅力の一つだと思うのですが、今回もその要素がふんだんに取り入れられているな……と。
ただ、これは前作を観た時にも感じたことですが、ジャニーズのコンサートで我々観客が感じている感覚を視覚的に表現しようとすると、確かにこういう映像になるかもしれないなとも思うのです。くるくる変わるセットや曲の世界観を補完する映像演出。大きな音とともに放たれる特効とか。それらを「うたプリ」というフィルターを通すと、こんな映像になるんだなあと改めて感じました。
アイドルが命綱もなしに飛んで見せたり、急に雷が鳴ったりスノードームが溶けたり龍が飛んだり。冷静に見ているとそんなわけあるかーい!とツッコミたくなる演出も、うたプリの世界線なら許されてしまうというか。かと思えばソロコーナーで他のメンバーがバックダンサーを務めていたりと、リアルとトンデモの絶妙なバランス感覚がスタツアを見ている時に感じる没入感を生んでいる気がします。
私はジャニーズのコンサートを見ている時の感覚を「エンタメを脳髄に直接注入されてる感じ」とよく表現するのですが、スタツアを観終わったあとの高揚感はそれに近いものがあります。記憶のなくなり方まで一緒なので、割と困る。
ですがこのリアルとトンデモのバランス感に慣れるまでは、「何を…見てる……?」と冷静になってしまうところもあるかもしれない。現に周りのジャニオタ達は、実際のコンサートを知っているが故に口を揃えて「よく分からなかった…」と言って帰ってきています。私も初見は高熱の時に見る夢かな?と思っていたら終わっていたので、3回目くらいで慣れるよ!
それからスタツアを観ていると、コンサートはかっこいい曲ばかりではなく、かわいかったり観客も一緒になって踊れたり盛り上がれる曲も入っている方が、単純にテンションが上がるなあということも再確認できます。ジャニーズ各位、スタツアを観ろ。
好きな曲は沢山あるのですが、パフォーマンスとしては聖川真斗くん、一ノ瀬トキヤくん、愛島セシルくんのユニット曲「SAMURAIZM」が一番好きです。個人的にフォーメーションダンスとかシンクロする振付が好きなので、毎回見るたびにニコニコしてしまいます。某アクロバットボーイズクラブさん、似合うと思います。衣装も赤いし。(?)
そして何よりも、シンプルに3Dモデルのクオリティが基本的に高い。表情の変化も細かくて、ちょっとした目蓋の動きや表情筋の動きすらも表現されています。本当に「生きている」かのような動きをするので、虚空に向かってペンライトを振っているという感覚はほぼありませんでした。個人的にはMCで話していない子が大きく動いていたりすると「現実だったら炎上するや……」などと思ったりもするのですが、アイドル同士が目を合わせて相槌を打っていたりするのには感動します。
何度も見ているとこの子の踊り方好きだな〜!なんていう発見もあったりして、今までよりも更にST☆RISHを好きになりました。あと今更ながらそういえばトキヤくんって黒髪だったよねとか思ったり。私も記憶をなくしてこの人が好きかも〜!って思いながら映画を観てミリしら記事を書きたい。
こんなコンサート映像を劇場で何回も観られるなんて……ずるい……ジャニーズもやって!!
積み上げてきた日々があるからこその「今日」
今回の映画はコンサートの本編が描かれていますが、ところどころにST☆RISHのアイドルたちが積み重ねてきた軌跡を感じる演出があり、ドラマチックさもまたオタク心をくすぐるなと思います。
OP曲でAクラスとSクラスで分かれてパフォーマンスするところは何度観てもゾクゾクするし、アイドルのパーソナルが色濃く反映されているソロ曲たちは、どれも感じ入るものがあります。
何よりトキヤくんが自由自在に表情を操るソロ曲は、初見で動揺しすぎて記憶を飛ばしました。「HAYATOくんいた……」しか言えないバケモノになってしまった。私は一ノ瀬双子説を信じて止まない厄介オタクなのですが、今回初めて「HAYATOと一ノ瀬トキヤは同一人物である」ということをまざまざを見せつけられた気がしました。
トキヤくん本人がHAYATOという存在を黒歴史ではなく、自分自身の一部であると受け入れたからこそのパフォーマンスだな……と外野ながらに感じざるを得ませんでした。大きく目を開けたあどけない笑顔も、柔らかく微笑む仕草も、私が好きになったHAYATOくんそのもので。でも、顔を伏せた次の瞬間見せる挑発的な表情はトキヤくんでしかなくて。それが寂しくもあり、嬉しくもありました。結果、この10年間で初めてトキヤくんのグッズを買おうかな…と悩むまでになりました。これは私個人にとっては天変地異にも近いものがあるので書き残しておきます。
楽曲以外のちょっとした演出にも、ゲーム本編をプレイしていたりアニメを観ていたオタクにはグッとくるシーンが散りばめられていて、見るたびに発見のある映画だなあと感じます。
今までとは違う曲調の楽曲を歌ってくれるところも、アイドルオタクとしてはエモポイントですよね。
うたプリが描く「永遠論」
スタツアのテーマは「旅」ですが、その旅の中には「人生」も含まれているのではないかと感じています。そして今回の映画で、私はうたプリの考える「永遠」というものを少しだけ見せてもらえた気がしました。
いつの頃からか、うたプリには「永遠」という言葉がよく出てくるようになりました。不動のセンター、一十木音也くんも「永遠なんてない」と言い切っています。そして「だからこそ、永遠じゃないからこそ良いんだ」とも。
「アイドル」と「永遠」という言葉は、私の中で両極端にあるもので。
限られた時間の中で最大限の煌めきを放つアイドルは、いつだって儚い。そこに永遠は存在しないことを、アイドル自身も、私たちファンも痛いほど理解している。でもだからこそ仮初の永遠を願ってしまうし、見ないふりをしているなとも思います。
アイドルってきっと、存在しない永遠を見せてくれる偶像。時間を騙し続ける仕事なんだと思います。
不変は安心を生みます。変わっていく世界や自分に対して、変わらずそこにいてくれるアイドル。その存在だけで救われることってきっと多い。それこそ今回のスタツアでうたプリに久しぶりに触れる人間にとって、好きだったあの頃のまま、変わらずに夢を叶え続けてくれているプリンスたちは不変の象徴だと思います。そしてずっとうたプリを好きでいる人たちにとっては、自分の毎日の中にプリンスたちが居続けていることは奇跡でありつつも、きっと当たり前になっているんだろうとも思わせられます。
街並みが少しずつ変わるように
二人の姿は成長してく
だから「変わらぬ愛」が尊く
暖かいものだと知る
一歩一歩大事に
あぁ 季節を重ね
今日の日を思い出せたら
同じメロディーを紡ごう
ー「マジLOVEスターリッシュツアーズ」/マジLOVEスターリッシュツアーズ -EP ST☆RISH より
映画のテーマソングでも歌われているように、変わっていくもの、過ぎていく時間があるからこそ、変わらないものの美しさは輝きを増します。
積み重ねてきた時間がアイドルを輝かせ、これからの未来を照らしてくれる。
本当の幸せは 花が舞い風が吹き
普通過ぎる「生きる」ってとこに
あるってことをこの歌で
託したくて
ー「ST☆RT OURS」/マジLOVEスターリッシュツアーズ -EP ST☆RISH より
何十年経った後も
年取ってきちゃったねってジョークを
笑い合い突っ込み合って
みんなで歌おうよ
ー「ST☆RT OURS」/マジLOVEスターリッシュツアーズ -EP ST☆RISH より
時間が過ぎるってことに
泣く君を抱き締め
生きて生きてわかる
愛を伝えて
ー「ST☆RT OURS」/マジLOVEスターリッシュツアーズ -EP ST☆RISH より
いつか来る別れがあるから、今が楽しくて、大切で。それは音也くんの言う「永遠じゃないからこそ良いんだ」という台詞に繋がるのかもしれません。
映画本編のラストに歌われている「ST☆RT OURS」は、その別れを怖がる気持ちすら包んでくれていて、初めて聞いたときにはこんなことを歌ってくれるアイドルがいるのかとただ呆然としました。そんな風に寄り添ってくれるアイドルなんて、きっとそういない。
スタツアに通う中で、私は「永遠」という言葉は未来ではなくこれまでの軌跡を表す言葉なのかもしれないと思うようになりました。積み重ねてきた時間をふと振り返って、「あぁ、こんなにも長い時間ずっと一緒にいたんだね」って笑い合うことで、過去が永遠に変わるのかもしれない。
ずっと続いてきた今日が、明日の、いつかの「永遠」になるんだ。
今回の映画のテーマに「人生」が含まれているのかもと触れましたが、そりゃ12年も続けば人生の一部にもなるよなぁと声優陣や制作陣のインタビューを読んでいても感じます。赤子が小学校を卒業する。12年間生きて生きて、演者も欠けることなく今日に辿り着いたことって紛れもなく奇跡でしかなくて。コンテンツが10年以上も続いているからこそ、アンコールで音也くんとトキヤくんが歌っている「帰る場所」というものが、きっとオタクにとってのうたプリでありたいんだろうなあなんてことを、いつもエンドロールを観ながら考えています。
そして、一秒でも長く「永遠」を伸ばしたくて、私は映画館に通い続けているのかもしれません。
まとめ
書きたいことを思いつくがままに書いてきたので、かなりまとまりのない文章たちになってしまいました。私のブログはいつもそう。映画の感想を書くつもりが、途中からいつもの思想の話になってしまった…。偶像と永遠は度々このブログで触れるテーマでもあるので、またサビを歌い始めたなと思っていただければ……。
過去記事にも書いているように、私は永遠を信じません。けれど人一倍永遠を欲しがっている自覚もあります。
だからこそ「永遠」という言葉に触れて、終わりに怯える気持ちに寄り添ってくれるアイドルたちが羨ましくてたまりません。
いつもどんなときも、いつかくる「終わり」を眺めて怖がってしまうのは、私の幼い頃から変わらない癖のひとつで。上の記事を書いてから3年が経つ今も、神様の寿命に怯えながら毎日を過ごしています。本当に後ろ向きでいい加減嫌になるなと思うのですが、スタツアを通して少し永遠という言葉に抱く印象が変わったのは一つの救いでもあるなと思います。
ちなみに私の考える「永遠」に近いことを歌っているのが、今回の聖川真斗くんのソロ曲「Snow Ballade」だなと感じていたりします。
命が閉じる瞬間までの時を
過ぎて行かないでと
共に生きてゆく旅を
苦しんで 苦しんで
時間の矛盾ですら力に変え
ー「Snow Ballade」/劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVEスターリッシュツアーズ挿入歌 聖川真斗 より
苦しんで苦しんで…という歌詞があまりにもしっくり来てしまって、真斗くんのオタクでもないのにここを聞くたびに泣きそうになります。冬を耐え忍ぶのが大好きな聖川真斗……(鈴村さん談)
色々と暗いことを書いてきましたが、シンプルにスタツアという映画はエンタメとして底抜けに楽しめる作品だと思います。初見で呆気にとられたとしても、2回3回と見ていくうちに楽しみ方がわかるようになってくるという点では、「KING OF PRISM by PrettyRhythm」と通ずるものがあるなあとも。っていうかキンプリって2016年の作品なの……もう時の流れがつらい……
どちらもイロモノコンテンツと呼ばれがちですが、世界観の作り込みや実在すると思い込ませる力、エンターテインメントへの探求心は随一なのではないかなと感じています。劇中に「いつまで経ってもドキドキワクワクできる存在でありたい」といった台詞が出てくるのですが、エンタメの本質って結局そこだよな、と。
私も怖がるばかりじゃなくて、好きなものをうまく好きでいつづけられるようになりたいなと改めて考えさせられる映画でした。
きっとまだ何回か観に行くと思うので、何かあったら書き足していこうと思います。
10/17 追記
一緒に映画を観に行ってくれた甘夏大先生がブログを書いてくれました!
私よりもわかりやすく「永遠」を書いてくださっていて、それ~!になったので貼っちゃお。
↓何かございましたら
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