たとえばなし

偶像と結果論

推しと担当が共演した話~恋を読むinクリエ「逃げるは恥だが役に立つ」

2021年8月13日。

懐かしさを感じる道を歩きながら辿り着いた、雨のシアタークリエ。

震える手を握りしめ、息を吐く。推しさんを好きになったとき、担当くんに出戻ったとき、まさかこんな日が来るなんて思いもしなかった。

開演5分前、意を決して踏み込んだ客席は記憶よりも広い気がした。

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というわけで、声優の推しである梅原裕一郎さんとジャニーズの担当である戸塚祥太くんがまさかの共演を果たした、恋を読むinクリエ「逃げるは恥だが役に立つを観劇してきました。

朗読劇の題材は、一時は社会現象にもなった「逃げるは恥だが役に立つ」。私はドラマ放送当時は見ていなかったのですが、昨年ひょんなことから星野源さんに躓いた際に一気見をしたこともあり、原作である漫画の方もこの機会に履修しました。

個人的には2010年ぶりのシアタークリエ。2010年って…いつ……?(震え声)

こんな共演は最初で最後だろうということで、備忘録を残しておこうと思います。

 

 

様々なエンターテイナーが織りなす朗読劇

私が観劇した回のキャストは

津崎平匡役 戸塚祥太さん

森山みくり役 大原櫻子さん

風見涼太役 梅原裕一郎さん

土屋百合役 シルビア・グラブさん

という布陣。アイドル、女優、声優と職種に幅のある回だったように思います。

台本の持ち方や演じ方、何を取っても四者四様でそういった点でも新鮮でした。

 

感想雑記

戸塚くん演じる平匡さんは、効率重視で猪突猛進。自分の世界だけで生きているような人物像で、比較的原作のキャラクターに近いように感じられました。あまり己の感情を表に出すことはなく、心の声が大きいタイプ。台詞回しでは大きな抑揚はなく、代わりに語尾のニュアンスで色を乗せている印象でした。

お芝居の面でいえば朗読劇が初めてということもあり、13日の公演はやはり不慣れというか、やりづらそうだなあというのが素直な感想。特に初回である昼の部は、役作りという面を差し引いても台詞が上滑りしているような感覚が強かったのですが、夜の部では少し余裕ができたのか自然になっていたように感じました。

けれど普段のお芝居よりも一生懸命口を動かして綺麗に発音しようとしている姿は微笑ましかったですし、どうしてもドラマのイメージが強い題材の中で原作の色を強く感じられたのは、あまり知識を詰め込まずに余白をもって演じたいと話していた戸塚くんの作戦勝ちかなとも思わされました。

今思えば「動かない」ということに囚われ過ぎているようにも感じたので、今後また朗読劇に出る機会があれば、さらに進化したお芝居が見たいなと思います。

 

対して梅原さんが演じた風見さんはドラマとも原作とも少し違う、飄々としているようで繊細な面が強いキャラクター像。独白での感情をぽつりと零すようなお芝居がとても素敵で、同僚である平匡さんに対する気安そうな声色と、想いを寄せる百合ちゃんに対するここぞというシーンで決める一言の重みの対比が印象的でした。

相手に語りかけるシーンや置きに行くセリフではふと台本から目を上げて、演者や客席に目線を向けること。大きく口を動かしているわけではないのに、はっきりと聞こえる台詞。兼役を演じている時に感じたワクワク感。

そのどれもに、「声」のプロであることをまざまざと見せつけられたような気がします。

劇中、声ひとつで板の上の空気をすべて自分のものにしてしまう瞬間が何度かあって。たった一言の台詞で空気がガラッと変わる瞬間が大好きで、その瞬間を楽しみにいつも朗読劇に足を運んでいるなあと改めて感じました。

 

大原さんの演じられていたみくりさんは、とにかく自然。ころころ変わる表情や声色がかわいらしく、でも平匡さんを受け入れる包容力もある。本当にそこに森山みくりという女性がいるかのような自然さでした。

シルビアさんの百合ちゃんはドラマや原作よりほんの少しだけパワフルで、かっこいい女性でした。それでもナイーブで、きちんと自分の弱さも分かっている、本当の意味での強い女性。元々百合ちゃんは好きなキャラクターなのですが、個人的にとても好きな百合ちゃん像でした。

 

いざ推しさんと担当くんが共演してみて

個人的には正直もういいかな!というのが率直なところです。

どちらの自我を強く持つかにもよると思うのですが、個人的には片方の畑にいきなり違う畑の推しに来られると身構えてしまうし、必要以上にハードルが上がってしまう感じがしました。今回私は結局声優オタクである自我が勝ってしまったので、推しさんと共演じゃなければそんなこともなかったのかな…?エムマスのライブを見ながらジャニーズと比べることはないので、共演がネックなところはあるかもしれないです。

あとはシンプルに目が足りない。劇中はお二人とも下手側に固まっていたのでそんなに困ることはなかったのですが、カーテンコールで違う方向に捌けられた瞬間混乱しました。なんだかんだ言って卑しいオタクなので……ね……。

それから少し別角度の話になってしまうのですが、勝手にどちらのファンの感想も気になっちゃってだめですね。推しさんのオタクは担当くんの演技をどう思ったんだろう…とか色々。

終演後、担当くんのファンの方が客席内で推しさんに対して「顔はいいよね~!」と言っていたのはさすがにアウトでした。外部の仕事、マジで発言には気を付けたほうがいいです。もちろんそんな方は少数派だと思いますし、twitterでは推しさんが褒められているツイートをにこにこしながらファボりました。

でもこう…無駄に不快指数が上がる確率が高いのってシンプルにストレスじゃないですか……?ここが地雷原か!?みたいな。推しさんにせよ担当くんにせよ、どちらが軽んじられても勝手に嫌な気持ちになるので……。

これが長期稽古、長期公演であればまた別なのかもしれないですけどね。二人の絡みやエピソードが色々聞けたら楽しいのかもしれないです。

でもやっぱり違う畑のミックスジュースはあんまり誰も幸せにならないんじゃないかなと思っちゃうな~!

もしも今後推しと担当が共演してどうしよう…と悩んでいる人がこのブログに辿りつくことがあるとすれば、できるアドバイス割り切って見ること。互いを比較しない。それに尽きるかもしれないです。

 

 

そんなこんなで私の5/28から始まった自我と自我の戦いは無事に幕を閉じました。

担当くんの新しいお仕事~!と詳細を開いて推しさんの名前を見つけた瞬間、自分でもびっくりするくらい大きな声が出たことも一生忘れないと思います。並べていいものでもない気がしますが、推しさんの病気療養に並ぶ衝撃でした。

キャスティングで胃をぶち壊したり、落選続きで耳の後ろからザァッと音を立てて血の気が引くという経験も初めてしました。ここにきてオタクとしての経験値が上がっちゃったな!

数年後、こんなこともあったな~!とげらげら笑い飛ばすために、このエントリーを投稿しておきます。

 

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